本報告書のポイント(肝)
- 「義理」という名の思考停止: 成果の出ない外部委託に金を払い続けるのは不義理の回避ではなく、経営判断の放棄である。
- 実行なき戦略は「高価なポエム」: 現場を動かせないコンサルタントやアドバイザーは、組織のキャッシュを吸い上げるだけの寄生虫と化す。
- 恩義と公金の峻別: 過去の恩は個人の資産で返すべきであり、未来の社員が稼いだ利益を私的な情理で流用してはならない。
【注意】 本記事は、某サービス業の代表取締役(M社長)との実際のコンサルティング風景を元に再構成した、プチノンフィクションです。
登場する人物・団体名は仮名、交わされた会話は異なりますが、【本質】および提示した【戦略的助言】については、当日お伝えした内容を収録しています。
▼ 動画版はこちら
CASE FILE: 003 「お仲間」という名の寄生虫
クライアント:某サービス業 代表取締役 M氏
相談内容:年間数千万規模の外部委託費の妥当性監査、および固定費削減の優先順位判定
(深夜、社長室。デスクの上には、分厚い「業務委託契約書」の束と、顧問料の支払い一覧表が並んでいる)
…正直に言いましょう。今のわが社の資金繰りは、極めて厳しい。
売上が好調だった時期には気にならなかったが、市場が冷え込み、利益が削られていく中で、この「外部委託費」が重くのしかかっているんだ。
売上が好調だった時期には気にならなかったが、市場が冷え込み、利益が削られていく中で、この「外部委託費」が重くのしかかっているんだ。
年間で数千万…。地方の優良企業が一つ、まるごと飲み込まれるほどの金額ですね。
これらすべて、現在進行形で稼働しているのですか?
これらすべて、現在進行形で稼働しているのですか?
ああ。例えばこのコンサルタントは先代からの付き合いでね。こちらの顧問は、私が起業したばかりの頃に目をかけてくれた業界の重鎮だ。
彼らのアドバイスがあったからこそ、ここまで来れたという恩義がある。今さら「効果がないから切る」なんて、不義理な真似はできない。
彼らのアドバイスがあったからこそ、ここまで来れたという恩義がある。今さら「効果がないから切る」なんて、不義理な真似はできない。
オーナー。ひとつお聞きしたいのですが。あなたは経営者ですか?
それとも、落ちぶれたエリートたちを養うための「慈善活動家」ですか?
それとも、落ちぶれたエリートたちを養うための「慈善活動家」ですか?
なにをいう? 慈善活動なものか。
彼らはわが社の「未来」のために、大局的な戦略を授けてくれているんだ。
彼らはわが社の「未来」のために、大局的な戦略を授けてくれているんだ。
未来。なるほど。では、その「高価な未来」のために、今月も現場の社員たちは削り取られた予算で必死に戦っているわけですね。
わたしの目には、この契約書の山は、御社の屋台骨を内側から食いつぶす「寄生虫の目録」にしか見えません。
わたしの目には、この契約書の山は、御社の屋台骨を内側から食いつぶす「寄生虫の目録」にしか見えません。
セクション一:「つながり」という名の思考停止
オーナー。
この「業界の重鎮」とやらは、直近一年間で具体的にどんな成果(コンバージョン)をもたらしましたか?
この「業界の重鎮」とやらは、直近一年間で具体的にどんな成果(コンバージョン)をもたらしましたか?
成果……と言われると困るが。
人脈を紹介してもらったり、経営者としての心構えを説いてもらったり……。
数字には表れにくい「見えない価値」を提供してくれているんだよ。
人脈を紹介してもらったり、経営者としての心構えを説いてもらったり……。
数字には表れにくい「見えない価値」を提供してくれているんだよ。
その「見えない価値」に、毎月数十万のコストを払う。
それを世間では「義理」とは呼びません。はたから見ると、「情に負けた経営判断の放棄」に見えます。
あなたは、過去の思い出を買い戻すために、会社のキャッシュを差し出しているに過ぎません。
それを世間では「義理」とは呼びません。はたから見ると、「情に負けた経営判断の放棄」に見えます。
あなたは、過去の思い出を買い戻すために、会社のキャッシュを差し出しているに過ぎません。
不愉快な言い方をするな。人との繋がりは、商売の基本だろう。
繋がりは「手段」であって「目的」ではないはずです。
会社が右肩下がりの局面で、真っ先に守るべきは過去の知人ではなく、今この瞬間、泥にまみれて働いている社員と、その家族ではありませんか?
会社が右肩下がりの局面で、真っ先に守るべきは過去の知人ではなく、今この瞬間、泥にまみれて働いている社員と、その家族ではありませんか?
……。
あなたが「不義理をしたくない」と夢想している間に、会社の余力は着実に蝕まれています。彼らは御社の業績が悪化した時、自らの報酬を返上して助けてくれましたか?
いや、契約書に守られた権利を平然と主張し続けているのではないでしょうか。
彼らにとって御社は、都合のいい「集金箱」でしかないのです。
いや、契約書に守られた権利を平然と主張し続けているのではないでしょうか。
彼らにとって御社は、都合のいい「集金箱」でしかないのです。
セクション二:実行なき「軍師」たちの毒
次はこれですね。こちらの戦略コンサルティング。横文字の専門用語と、綺麗なマインドマップで埋め尽くされていますね。
で、これを「誰が」「いつ」「どうやって」実行したのですか?
で、これを「誰が」「いつ」「どうやって」実行したのですか?
それは……現場の人間たちが、日々の業務に追われていてね。なかなか実行に移せていないのが実情だ。
だが、彼らの提案は非常に先進的で、いずれわが社のDXを加速させる鍵になるはずだ。
だが、彼らの提案は非常に先進的で、いずれわが社のDXを加速させる鍵になるはずだ。
いわば、「武器の磨き方」だけを教え、自分では一度も戦場に出ない軍師ということですね。そんな人が何人いても、城は守れません。
「実行」を伴わない戦略は、ただの「高価なポエム」です。
「実行」を伴わない戦略は、ただの「高価なポエム」です。
ポエムだと? 彼らはMBAホルダーで、一流の経歴を持っているんだぞ。
資格や経歴でご飯が食べれるなら苦労はしません。彼らが売っているのは「知恵」ではなく、考えたという免罪符です。
あなたは彼らにお金を払うことで、「自分は未来のために何かをしている」という安心感を買っているだけに見えます。
あなたは彼らにお金を払うことで、「自分は未来のために何かをしている」という安心感を買っているだけに見えます。
……現場が動けないのは、私の指導力不足もあるかもしれない。だが、彼らの意見は正しいんだ。
「正論」を吐くだけなら、AIでもできます。現場の足元を見ず、実行の苦しみを分かち合おうともしない人間を、「参謀」と呼んではなりません。
現場が汗を流して稼いだ利益を、動かない評論家たちの「講釈料」に変える。それは経営という名の、組織に対する背信行為ですよ。
現場が汗を流して稼いだ利益を、動かない評論家たちの「講釈料」に変える。それは経営という名の、組織に対する背信行為ですよ。
セクション三:重複する「お仲間」のビュッフェ
さらに滑稽なのは、この契約の重複です。Web顧問がいて、SEOコンサルがいて、さらに別のブランディング会社とも契約しているようですね。
もしかして全員、似たような領域に口を出していませんか?
もしかして全員、似たような領域に口を出していませんか?
それは……それぞれ得意分野が違うと思って契約したんだ。多角的な視点があった方が、間違いがないだろう?
一つの船に、船頭が何人も乗っている状態。そして全員が、違う方向に指をさしている。
あなたは、船が沈みかけているのに「どの船頭にも失礼があってはいけない」と、全員にお金を払い続けていることになっていますよ。
あなたは、船が沈みかけているのに「どの船頭にも失礼があってはいけない」と、全員にお金を払い続けていることになっていますよ。
……。
その結果、何が起きたか。現場は混乱し、意思決定は遅れ、結局どの施策も中途半端に終わっているようです。これは当然です。
一言で、責任を取らないアドバイザーが多すぎるからです。
一言で、責任を取らないアドバイザーが多すぎるからです。
確かに、最近は会議ばかり増えて、具体的なアクションが減っている気はしていた……。
彼らは競い合っているのですよ。いかに自分の「賢い意見」を採用させ、契約を継続させるかという、いわばゲームだと思っている人もいるのではないでしょうか。
御社の成長など、二の次。あなたは、彼らに「選ぶ苦労」を押し付けられ、思考停止の罰金を毎月支払っているのです。
御社の成長など、二の次。あなたは、彼らに「選ぶ苦労」を押し付けられ、思考停止の罰金を毎月支払っているのです。
セクション四:沈みゆく船の「損切り」
分かっている……。分かってはいるんだ。
だが、今ここで彼らとの契約をすべて切ったら、それこそわが社は「指針」を失ってバラバラになってしまうんじゃないか。それが怖いんだ。
だが、今ここで彼らとの契約をすべて切ったら、それこそわが社は「指針」を失ってバラバラになってしまうんじゃないか。それが怖いんだ。
オーナー。荒波の中で船を救うために、真っ先にすべきことは何ですか?
豪華な装飾品や、動かない荷物を海に投げ捨てることではありませんか? さもなければ、来月の給料日に絶望するのは、あなたと、あなたの社員たちです。
豪華な装飾品や、動かない荷物を海に投げ捨てることではありませんか? さもなければ、来月の給料日に絶望するのは、あなたと、あなたの社員たちです。
……。
彼らとの「つながり」を断っても、御社の価値は一ミリも減りません。むしろ、膿を出すことで組織は再び呼吸を始めます。
今の御社に必要なのは、キラキラした戦略案ではなく、今日、目の前の客を一人満足させるための「実行」ではないでしょうか。
今の御社に必要なのは、キラキラした戦略案ではなく、今日、目の前の客を一人満足させるための「実行」ではないでしょうか。
しかし、彼らにも生活がある。長年の恩を仇で返すようなことは……。
どうしても恩義を返したいのであれは、個人の資産でやってはどうでしょう。会社の公金を、私的な情理に流用する権利は、取締役といえども持ち合わせていないはずです。
あなたが守るべきは「過去の恩人」ではなく「未来の社員」でしょう。
あなたが守るべきは「過去の恩人」ではなく「未来の社員」でしょう。
結び:決断の刻
……手厳しい。だが、その通りだ。
私は「未来への投資」という言葉を隠れ蓑にして、過去のしがらみを切る「臆病さ」から目を逸らしていた。
私は「未来への投資」という言葉を隠れ蓑にして、過去のしがらみを切る「臆病さ」から目を逸らしていた。
気づいただけでも良かったです。
同じような状況で、立て直せない経営者はいくらでもいますからね。
ですが、気づくだけでは何も変わりません。
同じような状況で、立て直せない経営者はいくらでもいますからね。
ですが、気づくだけでは何も変わりません。
…分かっている。今日、この場で決断する。
この契約一覧にある外部委託のうち、実行を伴わないものはすべて今月で終了させる。
たとえどれほど「重鎮」であろうとも。
この契約一覧にある外部委託のうち、実行を伴わないものはすべて今月で終了させる。
たとえどれほど「重鎮」であろうとも。
賢明な判断です。実体のないアドバイスで自分を慰めるのは、もうやめましょう。
Webも経営も、最後は「誰がやったか」という泥臭い結果がすべてです。
Webも経営も、最後は「誰がやったか」という泥臭い結果がすべてです。
ええ、動きましょう。評論家たちの会議室へではなく、客と社員がいる現場へね。
リスさん、君の毒舌も……今回ばかりは「良薬」だと思わせてもらうよ。
リスさん、君の毒舌も……今回ばかりは「良薬」だと思わせてもらうよ。
審判の刻は、すでに始まっています。
船が軽くなった後、どこへ舵を切るか。もし迷った時は、また呼んでください。
冷徹な「羅針盤」が必要なら、何度でも伺いますよ。
船が軽くなった後、どこへ舵を切るか。もし迷った時は、また呼んでください。
冷徹な「羅針盤」が必要なら、何度でも伺いますよ。
あなたのWebサイトを「資産」へ。
「義理」や「しがらみ」が経営の足を引っ張っていませんか? Webの監査・戦略立案のご相談は下記より承っております。
無料戦略監査に申し込む
コメント