2030年、そのWebサイトは資産か負債か【コンサル録:CASE FILE 001】

そのサイト、2030年まで持ちません 監査報告書(コンサル録)

本報告書のポイント(肝)

  • 戦略的「自律」: 判断基準を外注先に預けた瞬間に、サイトは「業者の集金箱」へと変貌する。
  • AI時代における「一次情報」の価値: AIが生成する「平均点の正解」ではなく、泥臭い現場の事実こそが2030年の武器になる。
  • サンクコストの損切り: 過去の巨額投資を「負債」と断じ、新しい戦場へリソースを移せるのはトップであるオーナーだけ。

【注意】 本記事は、とあるオーナー経営者との実際のコンサルティング風景を元に再構成した、プチノンフィクションです。

登場する人物・団体名は仮名、交わされた会話は異なりますが、【本質】および提示した【戦略的助言】については、当日お伝えした内容を収録しています。


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CASE FILE: 001 デジタル資産の資産評価

クライアント:某製造業 代表取締役(50代)
相談内容:1,000万円を投じたWebサイトの資産評価

早速だけど、例のサイトを見てもらえるかな。
半年前、国内でも名の知れたチームに一千万ほど投じてリニューアルしたんだ。
デザインも気に入ってるし、担当者もしっかり更新してくれている。
向こう5年間は十分戦える、わが社の「顔」だと思っているんだけど-君の目には、どう映るかな?
拝見しました。
……一千万円、ですか。
そう。
それなりに奮発した。
どうだい、素直な感想を言ってくれ。
率直に申し上げます。
わたしの目には、「維持費だけを食いつぶし続ける巨大な粗大ゴミ」に見えています。
正確に言い直すなら、「2030年という戦場には、到底持ち込めない重すぎる荷物」とでも言うのでしょうか。
(少し笑いながら)はは。
ずいぶん手厳しいね。
ブランドを支える「看板」のつもりだったんだが、君に言わせれば「重荷」か。
面白い。
そこまで言うなら、その根拠を聞かせてもらえるかな。
はい。
わたしは、2030年以降も生き残れるサイトには、条件が5つあると考えています。
それを順番にお話しします。
5つ、ね。
聞こうじゃないか。

条件一:戦略的「自律」 ―― 思考の丸投げというリスク

2030年以降も生き残れるサイトの、第一の条件。
戦略のブラックボックス化を排除し、自律することです。
自律、か。
具体的には?
このサイト Marquis の管理権限や、戦略の根拠を、御社で、本当に掌握していますか?
それは……基本的には信頼できる代理店に任せてるよ。
毎月レポートも届くし、数字も安定している。
プロに任せるのが、一番効率的だと思っているんだけど。
それが「依存」という名の思考停止です。
思考停止、とは、少し言い方が厳しくないかね。
では、こう聞きましょう。
2026年以降、AIによって検索環境が激変した時、その業者は、責任を取ってくれますか?
万が一、契約を切ることになった翌日から、自社だけで舵を切り直せる体制が御社にありますか?
……それは、正直難しいな。
社内に技術的な人間がいるわけでもないし、専門用語ばかりで、現場の人間には手が出せない。
そこです。
実務を任せるのはいい。
ですが、「判断基準」まで任せてはいけない。
今の御社は、タクシーに乗って行き先を言わずに、運転手に「いい感じに走ってくれ」と財布を預けている状態です。
目的地に着いた時、財布が空になっていても、文句を言えませんよ。
行き先を決めなかったのは、オーナー自身なのですから。
……財布を預けている、か。
経営者が「なにが正解か」を判断する物差しを捨てた瞬間、Webサイトは資産としての機能を失います。
そこにあるのは、業者が自分たちの都合に合わせて、もっともらしい数字を並べるための「集金箱」だけです。
御社がお金を払い続ける限り、業者にとって「波風が立たない、都合のいい状態」が維持されるだけ。
それは経営ではなく、ただの「思考の丸投げ」ですよ。
(静かに)……耳が痛いな。
続けてくれ。

条件二:AIには不可能な「一次情報」 ―― 泥臭い事実の価値

次に第二の条件。
サイト全体を「AIのコピー」にしないことです。
AIのコピー?
うちは業者に頼んでSEOに強いライターも雇ってるし、正確な記事を揃えているつもりだよ。
内容も品行方正で、わが社らしい仕上がりだと思っている。
それが、一番危険です。
正確さが、なぜ危険なんだい?
2026年以降、予想ではAIが生成した「平均点の正解」がWeb上に溢れかえります。
その中で、同じ品質の「綺麗な解説」は、存在しないのと同じ扱いになります。
つまり、正確な情報を出しているだけでは、埋もれる、と。
そうです。
AIは「正解」は出せます。しかし、御社の現場で起きた失敗、顧客との対話、業界への違和感、そういった「一次情報」は、AIには永遠に持てない。
……なるほど。
綺麗な正解よりも、現場の泥臭い事実のほうが価値がある、ということか。
はっきり言えば、そうです。
御社にしか語れないことを、御社が語るかどうか、それだけが、2030年以降のコンテンツの生死を分けます。
うちの現場の話は、確かに誰もやってないな。
考えたことがなかったよ。

条件三:新規獲得プロセスの再設計 ―― 信頼の所在

ただね、Webサイトというのはやはり、新規客を見つけるための窓口だと思っているんだ。
検索の上位にいれば、それだけでわが社を選んでくれる人はいるはずだろう?
その「見つけられ方」が変わる、と言っています。
これが第三の条件。
信頼構築プロセスの再設計です。
どう変わるんだい?
AIが回答を出す時代、ユーザーはサイトを訪れる前に「答え」を知ってしまいます。わざわざクリックしてサイトに来る理由は、情報の確認ではなくなる。
……なるほど。答えが先にあるなら、サイトに来る理由は「信頼の確認」になる、というところか。
そうです。
なぜ他社ではなく御社が、その課題を解決できるのか。
アルゴリズムという運任せにせず、自社の独自性をいかに見せるか。
その設計思想がないサイトは、訪問されても、次のアクションにつながりません。
うちのサイトに、今それがあるか、と言われると……正直、自信はないな。
2030年に向けて、その設計がないサイトは、ただのデータの死骸です。
アクセス数はあっても、なにも動かない。
厳しい言い方をするね、君も。
ただ、否定もできない。

条件四:デジタル資産の「劣化速度」 ―― 耐用年数の嘘

でも、ひとつ反論してもいいかな。
わが社のサイトは、まだ作って半年だ。
税法上の耐用年数だって五年はある。
まだまだ現役で働いてもらわないと、困るんだよね。
それが、大きな誤解です。
第四の条件。
デジタル資産の寿命を、正しく認識することです。
Webの世界での三年は、現実世界の三十年に匹敵します。
三十年?
それはさすがに大袈裟じゃないか。
事実です。
WordPressのマイナーアップデートは月に数回、メジャーアップデートも半年に一度は行われています。
「五年は持つ」と思っている間に、裏側ではシステムが腐敗し、セキュリティの穴から、御社の顧客情報や信頼が、音も立てずに漏れ出している。
……そんなにか。
現場からそんな報告は上がってこないけどな。
上がってこないから、問題なのです。制作会社は「作るプロ」です。
しかし、御社の商売を日々アップデートしてくれるわけではない。
現場が週単位で改善のサイクルを回さなければ、サイトは静かに、気づかぬうちに価値を失っていきます。
要するに、作っただけで満足していた、ということか。
多くの経営者が、そこで止まります。
作ることがゴールではなく、スタートラインです。
……なるほど。
それは、そのとおりだな。

条件五:サンクコストに囚われない「解体」の決断

(少し重い空気で)……ここまで聞いてきて、薄々わかってはいたんだが。
君は結局、わが社が心血注いで作ったこのサイトを、今すぐ解体しろ、と言っているんだろう?
一千万の投資を-無駄だったと認めろ、と。
そのとおりです。
最後、第五の条件。
サンクコストに囚われない、冷徹な「解体」の決断。
わかってはいるよ。
頭では。
ただ、一千万というのは、社内でも大きな意思決定だった。
当時、それだけの覚悟を持って動かした話だ。
だからこそ、です。
成功した経営者ほど、過去の投資額が足かせとなり、機能しなくなった武器を守り続けてしまう。
ひとつ聞いていいですか。投資の世界で、前提条件が崩れた時、オーナーならどうしますか?
……即座に損切りだ。
それ以外にない。
Webサイトも同じです。
機能しないシステムを維持するために、彼らを疲弊させてはいけない。
昨日までの巨額投資を、今日「負債」だと断じ、新しい戦場へリソースを移す。
……それができるのは、トップであるオーナーだけです。
……確かに、現場の担当者は、毎月のレポート確認や、その改善提案に相当な時間を取られている。
だが、目に見えた効果は現れていない。
(少し間を置いて)……そうだな。
誰も代わりにはやってくれない。

結び:経営の鏡としてのWebサイト

厳しいが、真っ当な話だ。
正直に言えば、わたしの判断の甘さが、このサイトを停滞させていた。
認めざるを得ないよ。
Webは魔法ではありません。
経営の「鏡」です。
鏡、か。
なるほど。
映っているのは、自分自身だということか。
今日お話しした5つの条件を、もう一度整理します。
自律できているか。
一次情報を持っているか。
信頼構築の設計があるか。劣化速度を認識しているか。
そして、損切りの覚悟があるか。
客観的に見て、今の御社のサイトは、そのどれも満たしていないように見えます。
経営者として、自問してください。
この、2030年まで生き残れる見込みのない『負債の塊』を、これからも大事に抱え続けるおつもりですか?
目が覚めたよ。
ありがとう。
……動こう。
2030年まで、あと数年。
手遅れになる前に、冷徹な投資家の目で再評価してください。審判を下すための基準が必要であれば、また、ここへ来てください。

あなたのWebサイトを「資産」へ。

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AI×SEOコンサルタント 桐山智行(H.T.P.代表)

この記事の著者

桐山 智行(H.T.P.代表 / AI×SEO Guide Lab)

ガラケー時代からSEOに取り組んできた、SEO歴17年のWeb制作者・AI×SEOコンサルタント。中小企業や士業を中心に、WordPress制作、検索流入アップ、AIを活用したコンテンツ設計を支援しています。
このサイトでは、実務で検証したAI×SEOのノウハウと再現性のある手順を公開していきます。

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